年の瀬も近づいた週末。二人でショッピングモールに出かけた先で、隣を歩いていたはずの幸がいなくなって、政宗は一瞬肝を冷やした。しかしその姿はすぐ近くにあったクリスマス用品の一角にあって、ほっと胸を撫で下ろした。 ++Very Merry Xmas <現代版BASARAダテサナ>++ 「hey、幸…欲しいものでもあったのか?」 歩み寄って隣で足を止めて幸の視線の先を辿れば、きらきらと輝くツリーのオーナメント。 「綺麗でござるなぁ…」 飾り立てられたツリーにも負けないほど、大きな瞳をきらきらと輝かせている幸に、笑みが隠せない政宗はスティックキャンディー型のオーナメントに手を伸ばしながら、くす、と小さく笑った。 「…アンタのことだから、また甘味でも見てるのかと思ったぜ…」 「む、違いまする!…某、御館様の所にお邪魔しておったときには、こういうものを目にしたことがなかったので、少々…」 そう呟く横顔が少し寂しげに見えて、政宗は幸の視線の先にある簡素なオーナメントを手に取った。 「政宗殿?」 伸びてきた手を追いかけるように政宗の顔を見上げた幸に政宗は左目を眇めて微笑みかけた。 「家に、Xmastreeはなかっただろ?…買って帰ってアイツら驚かせてやろうぜ」 「え、で、でも…」 「いいんだ、俺からの少し早いpresentだと思えばいいだろ?」 そういって政宗は幸の手にオーナメントを手渡した。まだ目を白黒させたままの幸の髪をそっと撫でた手で肩に手を添え、ライトを浴びてきらきら光るオーナメントの棚に向かわせてやると、幸は嬉しそうに笑みを浮かべた。 「ありがとう、ございまする」 その笑みだけで政宗は満ち足りた気分になった。 この可愛い恋人に、自分はあとどれだけのことがしてやれるだろう。きっとまだたくさんあるはずだ。 そう思いながら、政宗は目の前に吊り下げられた銀の星を手に取った。 |