ありがとうございました!

+++I miss you<現代版BASARAダテサナ>++++++++++

後姿を見るのは嫌いじゃない。
でも、振り向いてもらえないのは…。

「政宗殿」
「un…?…どうした」
「まだ終わりませぬか?」
「終わらねえなぁ…」
「……後どれほどかかられまする?」
「わからねえ……なんだ、暇なのか?」
「……暇、といえば暇でござるが…」
「もうちっと待ってろって」
「…わかり申した」
政宗殿は仕事中。学校の先生だから仕方のうござる。
某は先ほどから政宗殿の仕事が終わられるのを待っておりまする。
……1時間ほど。
ぱそこんに向かっておられる政宗殿を、べっどに転がってじーっと見たり、傍らにおいてある英語の教科書を手持ち無沙汰に見ながら待っておるのでござるが…。
正直、退屈でござる。
「…政宗殿」
「んー…」
「……終わりませぬか…?」
「…んー…終わらねぇ…」
「まだまだかかりまするか…」
「………んー」
「政宗殿、聴いておられますか?」
「…………んー…」
「…もういいでござる」
仕事でお忙しいのはわかりまするが、返事くらいしてくださってもよかろうに…!
べっどから飛び降りて部屋を出ようとしても、政宗殿は一向に気づかれぬ。
……政宗殿なんか、しらないでござる。


ぷくりと頬が膨らましながら、某はきっちんでここあを作ることにしたでござる。
「……政宗殿…」
かしゃかしゃと鍋の中でぐるぐる模様をしているここあをかき混ぜていると、これも普段は政宗殿が作ってくださっていたこと思い出してしまったでござる…。
…某が宿題をしているとき…政宗殿が持ってきてくださったり…。

そういえば某が忙しいとき、政宗殿はどうしていらした…?

はたと気付いて思わず手を止めていると、鍋の中身が沸き立ってしまって慌てて火を止めてみると、案の定少し焦げてしまったでござる…。
……政宗殿ならこんなこと絶対なされぬでござるな。
失敗したここあをまぐかっぷに移して、そふぁに埋もれると少し悲しく…いえ、情けなくなってきてしまったでござる…。

政宗殿のことも考えず、一人で勝手に怒ってしまっている某を、呆れられるでござろうな…。
しゅんとしたままここあを飲んでいると突然手の中からまぐかっぷが取り上げられ、某が慌てて見上げると少しむすっとした顔の政宗殿が某を見下ろしておられた…。
「どこ行ったかと思ったら…しかも失敗しただろ、幸」
「うぅ…わかりまするか…」
「わかるに決まってんだろ」
そういうと政宗殿は某のかっぷを持ったままきっちんに向かわれた。
かうんたー越しの政宗殿をじっと見つめていると、ふと顔を上げられた政宗殿と目が合って某は慌てて顔をそらすと、政宗殿が笑われたのが聞こえた。


「ほら」
差し出されたまぐかっぷの中には、某が作ったのとは違うおいしそうなここあと、溶けかけのましゅまろ。
「……政宗殿…某……」
「アンタが待ってるからって急いでやってたのに終わったらいねえしよ…。かまってほしいなら、ちゃんと言やぁいいんだよ」
「し、しかしお仕事されておるのに…」
「ちっとは待たせるけどな、アンタが側にいないほうが気になるんだよ」
そう言って政宗殿が某の隣に座られると、某は政宗殿の腕の中に包まれた。
「だから、アンタはここにいろ、いいな?」
「…はい、わかりもうした…」
某はぎゅうっとしがみつくと、顔が赤くなるのをわかりながらそっと政宗殿の頬に口付けた。