ありがとうございました!

+++プラチナ<現代版Wダテサナ>+++++++++++++++

かちゃん、とソーサーにカップを戻す音が静かに響いた。
「おいしかったですね」
テーブル際のキャンドルの灯りがほわ、と微笑んだ幸村の顔を照らしていた。
それを一瞥し、伊達もカップに残っていた珈琲を飲み干した。
「雰囲気も悪くない、いい店だな」
「たまに来るには悪くないだろ。……こいつは、どこで食っても同じそうなんだが…」
二人の向かいに座っていた政宗が得意げな顔で笑い、隣の幸は幸せそうにデザートを口にしていた。
「ん……そんなことないでござるよ?おいしかったでござる」
口元についたクリームをぺろりと舐め取ると、嬉しそうににっこりと微笑んだ。
その仕草についつい見惚れかけた政宗は、正面から向けられる冷たい視線に我に返ると、慌てて残っていた珈琲を飲み下した。


「さて……。幸、もう満足か?」
「はい、ご馳走になりもうした!」
その笑顔に政宗も満足げに笑うと、四人揃って席を立った。
キャッシャーの前で財布を出しかける幸村を政宗が手で制した。
「俺が行こうっつったからな、出すぜ」
「しかし…」
「幸村、社会人に出させておけ。どうせ有り余っておるのだろう?」
逡巡する幸村を下がらせると、伊達がふん、と軽く笑った。
「別に有り余ってねえよ。たまには大人を頼れってことだ」
「…政宗殿、兄上と一歳しか違わないでござる…」
微妙な口答えをする幸の頭をぽふん、と軽く叩くと政宗は財布からカードを取り出した。


「…………え?」
「ふん…、どうせそんなことだろうと思ったわ」
「…なんでござるか、それ?」
三者三様の反応にも気付かず、政宗は手馴れた手つきでそれを差し出した。
「これで」
受け取る側ですら微妙に恭しくなってしまうそれを、ぞんざいに扱う政宗に幸村は思わず眩暈がしそうだった。
伊達はそんな幸村を支えながら、冷ややかな目でやり取りが済むのを待ち、幸は幸で何なのか、その価値がさっぱりわからず、疑問符を頭の横に浮かべていた。
「待たせたな……って、何だよ、その目は…」
向けられるような覚えの無い視線×3に、政宗は顔を顰めた。
「……伊達様が、さらにわからなくなりました…」
「………その狂った感覚、なんとかせい。馬鹿め…」
「政宗殿、それは一体なんでござるか?」
じっと政宗の手元に寄せられる視線。その手の中にあるのは、ひときわ眩しい白金の輝き。


伊達政宗、19歳。
金銭感覚、皆無(笑)。
アメッ○ス・プラチナカードを持つ男。


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